粘膜免疫での IgA 産生をマクロライド系抗生剤のクラリスロマイシンが増強す
お知らせ
今年8月に一般、医療スタッフ、実地医家向け等に(株)医薬ジャーナル社から「よくわかるインフルエンザのすべて」という単行本を発刊しました。最新のH7N9情報も含め、インフルエンザについてわかりやすく系統的に解説していますので是非、日常臨床にお役立てください(詳細は をご参照ください)。
池松秀之, 他: インフルエンザの呼吸器症状に対するクラリスロマイシンの効果--オセルタミビル治療例およびザナミビル治療例での比較検討
○妊婦について(平成21年10月13日 厚生労働省発健1013第4号)
・これまで季節性インフルエンザワクチンの接種により先天異常の発生頻度増加等は知られていない。
・バイアル製剤には、保存剤(チメロサール、又は2-フェノキシエタノール)が使用されている。チメロサールはエチル水銀に由来する防腐剤であるが、過去に指摘された発達障害との関連性について、最近の疫学研究では関連性は示されていない。
・プレフィルドシリンジ製剤には、保存剤の添加は行われていないことから、保存剤の添加されていないワクチン接種を希望する妊婦にはプレフィルドシリンジ製剤が使用できる。
○他の予防接種と併施について(平成21年10月13日 厚生労働省発健1013第4号)
・生ワクチンの接種を受けた者については、接種した日から27日以上、不活化ワクチン又はトキソイドの接種を受けた者については、原則として、接種した日から6日以上の間隔を置いてから新型インフルエンザワクチンの予防接種を行う。
・インフルエンザの予防接種に併せて、他の予防接種を同時に実施する場合は、医師が特に必要と認めた場合に限り行うことができる。
インフルエンザ予防目的(家族がインフルエンザA発症のため)にて、リン酸オセルタミビ ..
2012-2013年シーズンは培養でAH3N2(香港型)が80%(平均年齢36.0歳)、B型が19.2%(同30.3歳)、H1N1pdmが0.8%(26.4歳)の混合流行で、成人~高齢者に多く、H3N2では60歳以上が19.8%を占めました。ワクチンは9歳以下の発症率が非接種群27.3%、接種群9.8%と有効で(p
ノイラミニダーゼ(NA)阻害は平均の解熱時間(投薬開始から37.5℃未満に下がるまで)がA型では23.0時間(ペラミビル)~28.1時間(ザナミビル、ラニナミビル)と有効性が高いものの、B型は32.2~46.8時間とやや有効性が低いという結果でした。また各NA阻害薬投与後(±5日目)のウイルス残存率はH3N2で10~20%前後、B型で20~30%前後で、ウイルス残存率は特定の発熱パターンと密接な関係を示しました。
また今シーズンは高齢患者が多かったことから、1回完結型吸入薬ラニナミビルの高齢者における有用性を検討しましたが、高齢者でも大部分の症例で吸入可能であり、80歳以上でも有効率が高いことが確認されました。
○予防接種後副反応等に関する説明をしなければならない(平成21年10月13日 厚生労働省発健1013第4号)
・予診の際は、インフルエンザワクチンの効果や限界、リスク、製品特性(製造法、アジュバントの有無、チロメサール等防腐剤の含有の有無等)、インフルエンザの予防接種後の通常起こり得る反応及びまれに生じる重い副反応並びに健康被害救済制度について、優先接種対象者又はその保護者がその内容を理解し得るよう、「インフルエンザワクチンの接種に当たって」を用いて適切な説明を行う。
報告されている。本研究では、マウスにインフルエンザA(H1N1)ウイルスを感染させてクラリスロマイシンを投
3.ワクチン、抗インフルエンザ薬の有用性について
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班班長 河合直樹
COPDや気管支喘息は呼吸器ウイルス感染により増悪を来たすが、COPDの研究(Rohde G, et al. Thorax 2003)によると増悪の際の56%でウイルスを検出し、その種類はライノウイルス(36%)、A型インフルエンザウイルス (25%)、RSウイルス (22%)であった。クラリスロマイシン投与はこれらの難治性喘息およびCOPD増悪に対し予防効果がみられ、最近の報告(Albert RK, Connett J, Bailey WC, et al. Azithromycin for prevention of exacerbations of COPD. New Engl J Med 365: 689-698, 2011. )では、アジスロマイシンで増悪抑制、増悪頻度減少、最初の増悪までの期間延長、QOL改善およびウイルスに対する抑制効果がみられた。またインフルエンザ治療においてクラリスロマイシンを上乗せすると咳や鼻水に対し効果がみられる。
クラリスロマイシンの増悪予防効果の機序として気道クリーニング作用が挙げられるが、ニュージーランドからの報告(Simpson JL, et al. Am J Respir Crit Care Med, 177: 148-155, 2008)によると難治性喘息におけるQOL改善、喀痰中のIL-8、メタロプロテイナーゼ、好中球数 好中球エラスターゼの減少作用がみられ、難治性喘息におけるマクロライドの追加投与が重要であります(クラリスロマイシン 500mg x 2 daily)。
研究成果の概要(和文):鳥インフルエンザウイルス感染に対する新たな治療薬としてのクラリスロマイシン
○ワクチンの有効性について
・インフルエンザワクチンは、重症化や死亡の防止については一定の効果がありますが、感染防止に対しては効果が保証されるものではありません。
・いま日本で使われているワクチンは、以前にかかった人の免疫を高めるものであって、感染したことのないウイルスに対しては、効果が限られている(平成21年11月 日本医師会雑誌)
・インフルエンザワクチンは発症を防ぐ効果はあるだろうが、いったん発症すると、脳症の発病阻止には有効性がないということです。(平成21年11月 日本医師会雑誌)
・インフルエンザは気道から侵入するので、これを予防するためには気道で働くIgA抗体ができていることが必要ですが、現在の注射によるインフルエンザワクチンではIgA抗体はできずに、IgG抗体しかできません。IgG抗体はインフルエンザの重症化を防ぐのには役に立ちますが、気道から進入しようとするウイルスを局所で追い出すことはできないのです。(大阪大学大学院医学系研究科・免疫動態学 宮坂昌之先生 談)
・AP通信によると、ポーランドはワクチンを一切輸入していないが死亡率は他の欧州諸国と大差なかった。(平成22年2月24日 毎日新聞)
・医療従事者が再認識すべき、重要なインフルエンザワクチンの常識は、
①A香港型インフルエンザが流行した場合、高齢者にはほとんど効果がない。
②健康成人であっても、発病防止効果は40~50%でさほど高くないし、抗原変異があれば、健康成人での発病防止効果も大幅に低下する。
A香港型インフルエンザに対してワクチン効果が低い原因は、ワクチン製造の際の「鶏卵内での抗原変異」である。
鶏卵内での抗原変異は、H1N1/09にはなく、したがって鶏卵で製造したH1N1/09のワクチンは高い有効性がある。
日本では、B型インフルエンザに対するワクチン効果は低いというのが、一般的な意見である。しかし、欧米の報告を見ると、一定して50~70%の発病防止効果があり、それは小児でも高齢者でも変わらない。B型インフルエンザは、小児では入院の原因にもなり、学級閉鎖、休校を引き起こす。成人では、B型インフルエンザが流行しても、超過死亡の増加は見られず、高齢者やハイリスク患者での重要性は低い。
高齢者でのインフルエンザワクチンの重症化防止効果が強調されてきたが高齢者のワクチン接種率が高い米国、フランス、イタリア各国においても、超過死亡が低下しないことから、最近ではこのような高い重症化防止効果は疑問視されている。
菅谷憲夫 INFECTION FRONT Vol.35 P5-7 2015
文科省は、インフルエンザの出席停止期間を学校保健安全法の施行規制で、「発症後5日」の出席停止を条件に加え、幼稚園児については、解熱後の停止期間も2日から3日に改めました。そこで、その妥当性検証するため、家庭内と学校内感染の疫学調査とウイルスの消失時間における調査を行いました。
ⅰ)家族内で乳幼児と学童が同世代に感染する割合は、21%と13%で、同世代への感染率は乳幼児の方が高くii)流行状況では、保育園で1)誰とも感染の影響を持たない単独罹患者21%、2)クラスにウイルスを持ち込んだ第1罹患者16%、3)先行の罹患者の感染初期に感染を受けた者62%、4)先行する罹患者の復帰後に感染を受けた者1%であり、小学校では1)30%、2)16%、3)48%、4)5%でした。iii)経時的なウイルス力価の検討から、薬剤投与開始からウイルス消失までの時間(中央値)は、乳幼児で4.1日、学童で2.9日及び薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、1.7日、0.8日と差を認めましたが、解熱からウイルス消失までの時間には差を認めませんでした。
このことから、感染期間の判定は、解熱を基準にするのが妥当で、家族内で乳幼児に高い感染率がみられたものの、保育園で出席停止から復帰した児童からの感染は小学校より少なかったことより、出席停止期間を保育園児で長くする必要はないものと思われました。
さらに、薬剤別の薬剤投与開始からウイルス消失までの時間は、ラピアクタで2.2日、イナビルで3.2日、リレンザ で3.5日、タミフルで4.0日と有意差なく、薬剤投与開始から解熱までの時間はそれぞれ、0.8日、1.7日、1.1日、1.2日とラピアクタとイナビル間以外、有意差は認められなかったものの薬剤間に治療効果の違いがあることが示唆されました。発症からから解熱までの時間は治療開始の時間と薬剤に依存するため、早期の治療と薬剤の選択が出席停止期間を左右すると思われました。
クラリスロマイシン5日間併用。 症例4:Ⅳ型症例:14歳、男性
2012-13年流行期、ウイルス分離の検体総数は1,019件でした。インフルエンザ迅速診断キットの精度は、ウイルスの変化などの影響を受けますが、ウイルス分離あるいはPCRのどちらかでウイルスが検出された症例における迅速診断キットの感度は、99.8%で、キットでA型と判定された566例の陽性試験予測率は91.0%であり、タウンズ社などのキットの有用性は今シーズンも高いと考えられました。
2012-13年度ワクチン株はA/California/7/2009(H1N1)pdm09、A/Victoria/361/2010(H3N2)、 B/Wisconsin/01/2010(B)でした。ワクチン接種後のHI抗体価40倍以上の割合は、194例においてH1N1pdm09が85.1%、H3N2が95.4%でA型の両亜型とも良好な抗体価の上昇がみられましたが、有効率は高くなかったようです。Bの接種後HI抗体価40倍以上の割合は69.6%で、例年同様に高い割合ではありませんでした。
翌日、医療機関を受診し、クリンダマイシン点滴、クラリスロマイシン経口投与。 ..
○インフルエンザ外来診療における感染防御の方法(平成21年8月27日 長野県衛生部)
・玄関・入口等に近いところで患者・来訪者に対してインフルエンザ様症状の有無を確認するか、注意を促すよう努める。
・可能な限り、インフルエンザ様症状の患者とその他の患者の受診待ちの区域を分けるように努める。(衝立をたてるなど)
・患者が触れた部分は、適宜、アルコール等で消毒をする。
・常時、サージカルマスクを着用していることが望ましい。
・検体を採取する場合は、眼の防護(ゴーグル等)と手袋を追加する。そして、この手技は、他の患者からなるべく離れた場所で行う。
アジスロマイシン(250) クラリスロマイシン(200), 5, 8, 15, 28
今回, 国内で発症した小児IHD由来では初となるインフルエンザ菌a型株を確認した。本症例は入国後1週間の発症であること, TA8730株が世界各地におけるHiaの主要なSTであるST56であったことから, 海外からの輸入例であることが考えられた。
インフルエンザワクチン接種後に生じた急性汎発性発疹性膿疱症の1例
○うがいは効果あるでしょうか
ウイルスが気道上皮に付着してから上皮細胞内に侵入するまでの時間は30分程度と言われています。したがって感染をおこす環境においては30分おきにうがいを繰り返さないと効果はないと思われます。
ルム形成前からのクラリスロマイシンへ曝露が、インフルエンザ菌のバイオフィルムを抑.
○濃厚接触者への対応(平成21年8月27日 長野県衛生部健康づくり支援課)
(1)濃厚接触者の範囲
・患者の同居者の他、患者と食事や会話等をして近距離で濃厚に接触した者
・サージカルマスクを着用せずに患者の診察、看護、介助等で直接対応した者
(2)外出の自粛・職務の継続
・職務の必要性や職務の内容に応じて可否を判断する。
・他者と接触しないように工夫したり、接触する場合にはマスクを着け距離をあけたりすれば、職務の継続は可能である。
・手洗いの徹底、発症時の速やかな連絡も指導しておく。
[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠
○備蓄薬の放出について(平成21年9月4日)
通常流通している抗インフルエンザウイルス薬の市場在庫の枯渇が予測され、新型インフルエンザを治療する医療機関及び抗インフルエンザウイルス薬を調剤する薬局において治療等に影響がある場合に「県備蓄薬」を放出する。
☆インフルエンザにクラリスロマイシンが有効
・大正富山医薬品株式会社のデータによると
①クラリスロマイシンの添加により、培養細胞におけるインフルエンザウイルスの増殖を抑制した。
②クラリスロマイシン投与により活発な線毛運動が維持され、ウイルスの増殖も抑制されていることがわかった。
③クラリスロマイシンはIL-12の産生促進を介して、粘膜免疫に重要なIgAなどの抗体産生を増強していることが明らかになった。
ということです。
東北大学の渡辺彰助教授によると「ニューキノロン投与の場合と比較し、マクロライド投与のほうが発熱回数、発熱日数共に有意に抑えられました。また、インフルエンザ様疾患患児にセフェム系抗生物質を投与した場合と比べ、マクロライド系抗生物質を投与した場合の方が発熱期間が有意に短縮し、肺炎合併率も減少していることがわかります。」ということです。渡辺彰:日胸62(9):819-827二宮恵子:JJ Antibio 56(A):84-86,2003 (2004.12.08記)
副鼻腔炎のためクラリスロマイシンを服用しております。本日インフルエンザ予防接種を受けたのですが、服用をやめた方がいいのでしょうか。
5.「特別講演」パンデミックインフルエンザへの事前準備と緊急対応体制の再構築
国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター センター長 田代 眞人
クラリスロマイシン、ルパフィン、プランルカスト、カルボシステインを飲んでおり、アラミストを点鼻して…
○出席停止の期間(学校保健安全法施行規則の改正(平成24年4月1日施行))
・インフルエンザの出席停止期間の基準については、「発症した後五日を経過し、かつ、解熱した後二日(幼児にあっては、三日)を経過するまで」に変更された。尚、発症日、解熱日を0日として数える。
つまり、発症日を0日目として、三日目までに解熱した場合は、六日目から出席可である。
クラリス、クラリシッドはフロモックスなどとは異なる系統の抗生物質ですが ..
インフルエンザに罹患してしまったら薬だけでは無く食事を取ることが非常に重要です。
水分だけでは重症化を防ぐことが出来ませんので解熱剤をうまく使用しましょう。
抗インフルエンザ薬による獲得免疫抑制をマクロライド薬併用で阻止
ドライプレート(栄研化学)を用いてアンピシリン(ABPC), スルバクタム/アンピシリン(S/A), セフェピム(CFPM), セファクロル(CCL), メロペネム(MEPM), イミペネム(IPM), アジスロマイシン(AZM), クラリスロマイシン(CAM), レボフロキサシン(LVFX)について最小発育阻止濃度(MIC)を測定した。Clinical Laboratory Standards Institute(CLSI)M100 ED30:2020の基準でカテゴリを判定したところ, すべての薬剤において感性であった。また, セフィナーゼディスク(BD)を用いてβ-ラクタマーゼ産生を確認した結果, 陰性であった。
インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)感染症
さて実際インフルエンザに罹患してしまった場合、抗インフルエンザ薬を処方して貰うと思います。
薬を飲めば数日の間に解熱し快復に向かいますが、実は抗インフルエンザ薬を使用すると獲得免疫が非常に出来にくくなると言われています。
ところがクラリスロマイシンという抗生物質を一緒に内服すると抗体産生に強い味方となる事が分かってきました。
抗生物質としての効能以外の効果です。
インフルエンザは形が変わりやすいとは言え抗体が出来るメリットの方が大きいので最近はインフルエンザ薬と一緒に処方されることが増えてきています。
また既存の高脂血症治療薬の一部に脳症や脳炎の予防効果が見つかったり、栄養ドリンクに配合されているDADA(ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン)がウイルス量を減少させる可能性があることが実験で分かってきています。
実際にはその効果がまだ人で確かめられたわけではなく実験段階ですが、今後インフルエンザの治療において重要な役割を果たす可能性があります。