デキサメタゾンは合成副腎皮質ホルモンとして強力な抗炎症作用を有し、副作用の少ないコルチコ


SARS-CoV-2の生活環の中で必須の酵素、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)とメインプロテアーゼを標的とした新規化合物の開発が進んでいる。現在国内で臨床試験に進んでいるものもしくは今後開発の可能性のある製剤が3種類あり、その成否に注目が集まっている。


デキサメタゾンは、合成副腎皮質ホルモンとして 1958 年に開発された化合物

MK-4482/EIDD-2081はRdRpを標的としたシチジンアナログ製剤EIDD-1931 (b-D-N4-hydroxycytidine)のプロドラッグであり、経口摂取が可能な薬剤である[6]。2000年代初頭にC型肝炎の治療薬として開発が進められて化合物であり、インフルエンザAやRSに対しても阻害活性を示す。EIDD-1931はchain terminatorとして作用するのではなく、シチジンの代わりに転写RNA鎖に取り込まれるとこで嬢RNA鎖に変異を誘導してウイルスを不活化する[7]。その作用機序から宿主のゲノムに対しても催奇形性が危惧されたが、動物実験ではその危険は示されなかった。

抗炎症効果に加え、in vitroにてSARS-CoV-2のエンドサイトーシス経路の阻害作用も推測されたことから[5]、企業主導の国際共同二重盲検プラセボ対照RCT(COV-BARRIER試験)の他、入院COVID-19肺炎患者1033例を対象に、RDV併用下での本剤の有効性及び安全性を評価する国際共同プラセボ対照二重盲検RCT (ACTT-2試験)がNIAID主導で実施され、本邦も参加した。回復までの期間の中央値は、本剤群で7[6,8]日、プラセボ群で8[7,9]日であり、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されたが(ハザード比:1.15[1.00, 1.31]、p=0.047)、この効果は、ベースライン時に酸素投与が必要であった患者にてより顕著であった。

デキサメタゾンは、合成副腎皮質ホルモンとして 1958 年に開発された抗炎症作用を

炎症性サイトカインによる免疫活性化細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たすJAK等のチロシンキナーゼを選択的に阻害する薬剤は、COVID-19重症例における抗炎症効果が期待される薬として着目され、各種試験が実施されている。本邦で承認されているJAK阻害薬は、関節リウマチ(RA)等の適応を有するトファシチニブ、バリシチニブ、ペフィシチニブ、ウパダシチニブ、フィルゴチニブの他、骨髄繊維症及び真性多血症に効能を有するJAK2選択的阻害薬ルキソリチニブの6剤だが、バリシチニブはJAKの4つのサブタイプ(JAK1~3及びTYK2)のうち、主にJAK1/2を選択的に阻害する経口薬であり、本邦ではRA及びアトピー性皮膚炎で適応を取得している。

COVID-19に対する有効性について、オックスフォード大学主導で英国にて実施中の大規模な非盲検ランダム化アダプティブプラットフォーム試験RECOVERY試験にて、標準治療群(4321例)とデキサメタゾンを一日6 mg(経口又は静脈内投与)、最大10日間投与する群(2104例)とで28日までの死亡率を比較した結果が公表された。全体集団においても、標準治療群25.7%と比較し本剤群22.9%と、本剤投与にて死亡率は有意に低下したが(年齢調整率リスク比 (RR): 0.83[0.75, 0.93]、p

[PDF] デキサメタゾン製剤の制吐薬としての開発に関する要望については

RdRPによる転写を阻害するグアノシンの核酸アナログ製剤であり、C型肝炎の治療薬として開発が進められてきた経口摂取が可能な化合物である[8]。In vitroでSARS-CoV-2の増殖を阻害することが報告されている[9]。本剤は厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症治療薬の実用化のための支援事業(以下、支援事業)」の対象品目であり、現在軽症~中等症外来患者対象の国際共同第Ⅲ相試験(MORNINGSKY Trial)に、本邦も参加している。

デキサメタゾンは合成副腎皮質ステロイド剤の一つであり、抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用など、広範囲にわたる作用があり、国内では重症感染症等多岐にわたる適応症を有する既承認薬である。他のステロイドと比較し抗炎症作用が強く半減期が長い特徴があり、ミネラルコルチコイド作用は低い。

デキサメタゾン製剤の制吐薬としての開発に関する要望については、

副腎皮質ステロイド薬は抗炎症作用、抗アレルギー作用、免疫抑制作用など、広範囲にわたる作用がある。肺感染症に対するステロイド薬の全身投与については、広範な肺組織の炎症・傷害に対しステロイドが保護的に働く可能性を示唆する知見がある一方で、SARSやMERS等ではウイルスのクリアランスを遅延させたとの報告もあり[3][4]、免疫抑制作用に伴う二次感染のリスク増大や長期合併症の問題等含め、一定の見解が得られていない。

また、回復者血漿から一定量かつ高濃度の抗体を含有する抗SARS-CoV-2高度免疫グロブリン製剤(H-Ig)を精製し、医薬品として臨床効果を検証する試みもある。NIAID主導で、CoVIg-19アライアンス(CSL Behring、武田薬品他4社)よりH-Igの提供を受け、重篤化リスクを有する成人COVID-19入院患者593例を対象に、レムデシビル併用下に疾患リスク軽減効果を評価する国際共同プラセボ対照二重盲検RCT(ITAC試験)が実施され、国内の医療期間も参加したが、CoVIg-19アライアンスグループからの報告では、主要評価項目について統計学的に有意な差は認められなかったとされた。


そのため、デキサメタゾン及びベタメタゾンの試験法について開発が進められてきたと

本稿では、本邦での承認薬に加え、開発中又は開発予定のある医薬品につき、COVID-19に関する国内の診療の手引きやNIHの治療ガイドライン等[1]で主要な根拠論文として取り上げられているランダム化比較試験(RCT)の成績等を中心に、現時点での薬剤開発の状況について概説する(表及び【図1】を参照)。

5) 新型コロナウイルスワクチンの被接種者は薬剤開発のための臨床試験で除外されている ..

本邦も参加した米国国立衛生研究所アレルギー・感染症研究所(NIAID)が主体となり実施された、中等症~重症相当の成人COVID-19患者1062例を対象とした国際共同プラセボ対照二重盲検RCT(ACTT-1試験)において、回復期間の中央値[95%信頼区間]は、プラセボ群15日[13, 18]に対し本剤群10日[9, 11]であり、本剤群とプラセボ群との対比較において統計学的に有意な差が認められた(ハザード比:1.29[1.12, 1.49]、p<0.001)。また、企業治験として実施された中等症COVID-19患者596例を対象とした非盲検RCT(GS-US-540-5774試験)では、主要評価項目である7点順序尺度で評価した無作為化後10日目の臨床状態について、本剤5日投与群は標準療法群と比較して有意に臨床的改善をもたらすことが示されたものの(オッズ比:1.65[1.09, 2.48]、p=0.02)、本剤10日投与群と標準療法群との間に有意差は認めなかった(オッズ比:1.31[0.88, 1.95]、p=0.18)。

合成副腎皮質ホルモンとして 1958 年に開発された化合物で、強力な抗炎症作用を持つ。 2

2019年末に中国で確認後、急速に全世界に拡散した新型コロナウイルス(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)は、今日に到るまで1億7000万人が感染し350万人が死に到る歴史に残るパンデミックとなっている。このSARS-CoV-2による新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)の治療法開発には多くの研究者と企業が総力をあげてこの一年取り組んできた。抗ウイルス活性が示唆される既存薬のrepositioningの試行に加え、重症例での病態への関与が示唆される過剰免疫の抑制についても各種抗炎症薬の効果を検証する臨床試験が実施されている。しかし、2021年4月時点、本邦でCOVID-19治療薬として承認されているものは、抗ウイルス薬のレムデシビルと、抗炎症薬であるデキサメタゾン、バリシチニブの3剤のみである。

[PDF] 新型コロナウイルス感染症に関する 国内外の研究開発動向について

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ショウガ+)微糖タイプ」、加工者:澪森)に、医薬品のステロイド成分であるデキサメタゾン ..

その他、感染回復者から、SARS-Cov-2のスパイク蛋白上の受容体結合ドメイン(RBD)を標的とした中和抗体を同定・分離し、新規抗ウイルス薬として開発する試みも進行中である。現在臨床試験での有効性を示唆する結果に基づきFDAから緊急使用許可を取得し、重症化リスクを有する軽症~中等症外来患者に投与可能な抗体製剤は、下記の1) ~3) の製剤のみである。

するもので、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)新興・再興感染症に ..

薬物療法を検討するに際しては、本稿で紹介した「新型コロナウイルス感染症診療の手引き」だけでなく、日本感染症学会が取りまとめる等も参考にしながら、慎重に進めるようにしましょう。

開発責任者の Jeffrey Jackson は、次のように述べ

この記事では、デキサメタゾンの効果や副作用、薬価などについて解説していきました。現在では、2020年5月にレムデシビル(商品名:ベクルリー®点滴静注液)が特例承認され、ファビピラビル(商品名:アビガン®錠)などの適応外使用も認められるなど、新型コロナウイルス感染症に対して用いることのできる薬剤の選択肢は増えつつあります。

ています。「エムプリシティとレナリドミドおよびデキサメタゾンの併用療法は、再発または難治

両抗体は、各々北米と中国のCOVID-19回復者血漿より分離された抗体を基に開発された中和抗体であり、認識するエピトープは一部異なるものの重複している。発症早期の軽症~中等症外来患者を対象としたBLAZE-1試験のⅡ相パートでは、Bamlanivimab 700 mg(101例)、2800 mg(107例)、 7000 mg(101例)又はBamlanivimab 2800 mg+Etesevimab 2800 mg(112例)の単回静脈内投与から11日目のウイルス減少量を、プラセボ(156例)と比較した。ベースラインからのウイルス変化量は、プラセボ群-3.80 Logに対し、各投与群で各々-3.72 、-4.08、-3.49及び―4.37 Logであり、併用群においてプラセボとの有意差が確認された(群間差:-0.57[-1.00, ―0.14]、p=0.01)。同試験のⅢ相パートでは、Bamlanivimab 700 mg+Etesevimab 1400 mg群とBamlanivimab 2800 mg+Etesevimab 2800 mg群が設定され、投与後29日目の入院又は死亡率を、各々のプラセボ対照群と比較した。

[PDF] COVID-19肺炎に対する 量デキサメタゾンの治療効果

服用中に水痘又は麻疹に感染した場合において、致命的な経過をたどる場合もあるため、前述の疾患における予防接種の有無を確認することも重要です。

新型ウイルスの新治療法、重症患者の3人に1人に効果=英研究チーム

また、デキサメタゾンの服用により、誘発感染症、続発性副腎皮質機能不全、消化性潰瘍、糖尿病、精神障害などの重篤な副作用があらわれる例が報告されています。これらの副作用があらわれた場合における対応について、適切な指導を行うことも求められています。

新型コロナウイルス感染症治療薬の開発は、その緊急的な状況からも ..

途中で症状が改善しても中止せず、最後まで服用するように指導します。手引きではデキサメタゾンとして6mgの服用が推奨されており、デカドロン®錠4mgを用いる場合では1回あたり1.5錠の服用が必要となるため、1回量を確認することもポイントです。

デキサメタゾン内服8mg、または、デキサメタゾン静注6.6mgの治療の有効性を ..

FDAに提出された中間解析結果における入院又は死亡率は、Bamlanivimab 700 mg+Etesevimab 1400 mg群0.8%(4/511例)、その対照群6%(15/258例)、Bamlanivimab 2800 mg+Etesevimab 2800 mg群2%(11/518例)、その対照群7%(36/517例)であり、Bamlanivimab 700 mg+Etesevimab 1400 mg群で87%、Bamlanivimab 2800 mg+Etesevimab 2800 mg群で70%の入院又は死亡リスク軽減が得られた。本試験結果を踏まえ、FDAはBamlanivimab 700 mg+Etesevimab 700 mgのカクテル製剤について2021年2月9日緊急使用許可を発出した。なお、Bamlanivimab 700 mg単独投与については[14]、変異株の拡散状況に伴い、2020年11月9日に発出された緊急使用許可が2021年4月16日に取り消された。国内での開発予定は現時点では不明である。