【抗菌薬に関する推奨】クループ症候群に対しては抗菌薬を投与しないこと


1964年から2021年までに発表された0歳から18歳の子ども5,888人を対象とした45件の研究に対し、1,323人の子どもを対象とした2件の新しい研究を含めた。今回使用されたグルココルチコイドは、ブデソニド、デキサメタゾン、プレドニゾロンの3種類である。最新の1件の研究では、ブデソニドとデキサメタゾンの有効性が比較された。もう1件の新しい研究では、デキサメタゾンとプレドニゾロンの有効性、およびデキサメタゾンの少量投与(0.15mg/kg)とデキサメタゾン0.60mg/kgとを比較した。デキサメタゾンの投与量を比較した新しい研究のデータを、同じ比較を行った以前からレビューに含まれている研究に追加した。


幼児または小児のクループに対する噴霧吸入プデソニドの通常用量は2mg で

デキサメタゾンはプレドニゾロンと比較して、病院や救急外来を受診してから2時間後と6時間後のクループスコアに改善を認めず、おそらくクループによる再診や(再)入院をほぼ半分に減少させた。グルココルチコイドの追加投与は、プレドニゾロンと比較してデキサメタゾンが有利であった。デキサメタゾン0.15 mg/kgと比較して、標準用量である0.60 mg/kgは,病院または救急部受診後24時間におけるクループスコアリングスケールで評価したクループの重症度をおそらく低下させた.しかし、2時間、6時間、12時間後のクループスコアリングスケール、小児の再診や(再)入院、病院や救急外来での滞在時間については、群間で重要な差を見出すことはできなかった。エピネフリンなどの他の薬剤の使用、グルココルチコイドの補充、呼吸を助けるためのチューブの使用などの追加治療の必要性は、デキサメタゾン0.15mg/kgと0.60mg/kgで差はなかった。新たに組み入れられた試験では、グルココルチコイドの使用による重篤な有害事象は報告されていない。

グルココルチコイドは、プラセボ(ダミー治療)と比較して、2時間後のクループの症状を軽減し、入院期間を短縮し、再診率や(再)入院率を低下させるというエビデンスに変わりはない。デキサメタゾンの0.15mg/kgの少量投与は、標準用量である0.60mg/kgと同等の効果が期待できる。クループに対する低用量デキサメタゾン0.15mg/kgの有効性に関するエビデンスを強化するために、さらなる研究が必要である。小児のクループの治療にはグルココルチコイドが有効であると結論づけた。

クループ症候群におけるDexamethasone単回静注後のrebound発熱

ほとんどの研究(98%)は、その方法、報告の問題、あるいはその両方に関連する問題を抱えていた。プラセボと比較したグルココルチコイドについては、研究のばらつき、研究結果の不正確さや矛盾、バイアスのリスクから、2、6、12、24時間後のクループスコアの変化、再診または(再)入院のエビデンスの確実性を低下させた。再診、再入院、またはその両方について、報告の偏りが結果に影響を与えたというエビデンスはほとんどない。このレビューの他の比較でも、バイアスのリスク、試験結果の矛盾や不正確さに関する懸念など、エビデンスの確実性を脅かす同様の問題が存在した。

4 施設の小児救急外来で二重盲検試験を実施し,軽症のクループの小児 720 例を,デキサメタゾン(0.6 mg/kg 体重)またはプラセボの単回経口投与に無作為に割付けた.小児らは,Westley らのクループ評価法でスコア 2 以下と定義される,軽症のクループであった.主要転帰は,治療後 7 日以内にクループで医療機関を再受診することとした.副次的転帰は,治療後 1,2,3 日目のクループ症状の持続とした.その他の転帰は,経済的負担,クループで小児の睡眠が妨げられた時間,小児の疾患に対する保護者側のストレスとした.

デカドロンエリキシル、リンデロンシロップでは 1.5mg/kg

ベースライン時の臨床的特性は,両群で同様であった.再受診率はデキサメタゾン群で有意に低かった(7.3% 対 15.3%,P<0.001).デキサメタゾン群では,クループ症状がより早期に軽快し(P=0.003),睡眠が妨げられた時間が短く(P<0.001),保護者側のストレスが軽減していた(P<0.001).

軽症のクループを呈する小児にとって,デキサメタゾンは有効な治療法であり,小さいながらも重要な,一貫性のある臨床的・経済的利益をもたらす.この治療法の長期的な効果は不明であるが,今回のデータからは,クループを患う小児には,全例にではないにしてもその大部分に対し,デキサメタゾンの使用が支持される.

・ボスミン注 0.2mL を生食 2mL に希釈して吸入 30 分ごとに反復

有効な治療はなく、対処療法しかありません。
基本はアドレナリンの吸入とステロイドの全身投与になります。
アドレンリンの吸入は海外のガイドラインでは重症度のみの推奨されており、気管挿管を回避する為の一時的な処置と考えられています。
一方、日本では比較的軽症の患者さんにも使用されることが多いですが、効果は一過性なので帰宅後の悪化に注意が必要になります。
投与量は海外の製剤と日本の製剤が異なるため単純に比較することが出来ません。
ブデゾニド(パルミコート)の吸入も同様に効果があると言われていますが、日本では適応外となります。
またその使用量は2mgと多いため使用されることは少ないと思います。
ステロイドの全身投与は外来では経口、入院では点滴になることが多いです。その量はデキサメサゾン(デカドロン)で0.15mg/kgの単回投与になります。
デカドロンには錠剤とシロップがありますが、。錠剤は破砕して服用して頂きます。
ご自宅では水分の補給と加湿をしてあげて下さい。
アメリカの映画でお母様がシャワーを出した浴室に子どもを抱いて入り加湿しているシーンを見たことがあります。

①4F-PCCは外傷の凝固障害に有用か?(必読)
②クループのデキサメタゾン内服は少量で良い?
③高齢の失神患者の原因が分からないとき、入院と帰宅では予後が変わる?
④自閉症スペクトラム障害の子に初療室で鎮静をかけるときの投与量は?
⑤2人でBystander CPRを行うときの裏技


クループに対するデカドロン、0.6mg/kg?0.15mg/kg?

クループに対するステロイドの経口投与は、古典的にはデキサメサゾンの0.6mg/kgです。
UpToDateによるとデキサメタゾンの内服は味が悪いとのことです。日本には比較的飲みやすいデカドロンエリキシル®がありますが、0.6mg/kgで飲むと10kgの子が60mlも飲まなくてはいけないという問題があります。また小児の保険用量は40mlまでです。
いくつかのStudyで0.15mg/kg~0.3mg/kgでも同等の効果があると示されていますが、n数が100例程度の小規模Studyが中心でした。
今回のStudyは1200人以上ものクループの患者を集めて、デキサメサゾン通常量(0.6mg/kg)、デキサメサゾン少量(0.15mg/kg)、プレドニゾロン(1mg/kg)の3群に410名ずつを割り当てたRCTです。
今回のRCTで、デキサメサゾン少量投与やプレドニゾロン投与は、デキサメサゾン通常量投与に対して非劣性を示しました。
すでに0.15mg/kgで処方している施設の方にとっては朗報と言えると思います。
2施設で1200人もクループを集められるのがすごいですね。

[PDF] 小児 COVID-19 軽症から中等症の治療フローチャート

皆さんの施設ではクループの子にデキサメタゾンをどうやって内服させていますか?
文献班のメンバーに聞くと、エリキシル製剤にはアルコールが入っているので小児への処方は避けるという意見も複数ありました。施設によっては粉砕したデカドロン錠を単シロップに混ぜて「練り団子」のようにして飲ませたり、粉砕した錠剤を水で懸濁して5mlの注射器でピュッと口の中に入れて飲ませるなどの工夫をしている様です。
とても面白い話題なので各施設の工夫を共有していただけると幸いです。

[PDF] デキサメタゾン COVID-19 小児患者に対する治療薬としての位置付け

最後に、ちょっと面白いTIPsです。
ACLSなどで2人法のBVM換気を指導している方も多いと思います。
ただ胸骨圧迫とBVM換気を2人で行う場合は、普通は1人法のBVM換気を行う事になりますよね。
筆者らは、一人が両手でBVMのマスク部分をホールドして、胸骨圧迫を30回終えた人がバッグを揉むという方法の有効性を人形を使って調べました。
意外にも、胸骨圧迫の中断時間を増やすことなく有効に換気することができました。
さらっと読める論文です。しかも臨床に有用な情報だと思います。

適応に応じ様々。 COVID-19 に対する RECOVERY trial では成人を対象に 6mg/日を経口または静注で最長 10 日

推奨: 小児(生後6ヶ月から5歳)の中等症・重症の喉頭気管支炎(仮性クループ)に対して、臨床症状の改善、入院率の低下を考慮した場合、デキサメタゾン(0.15mg/kg)を経口で単回投与することを推奨する。

かぜを知ろうその7 クループの咳 | くぼこどもクリニック ブログ

解説: デキサメタゾンは投与してから30分から2時間で効果を発揮し、その効果は24から48時間持続する。軽症のクループではデキサメタゾン0.15mg/kgと0.6mg/kgでは効果の差を認めないが、中等症以上では効果に差があるとの報告がある。
我が国ではデキサメタゾンエリキシル(0.1mg/ml)が使用されることが多いが、10kgの小児では1回15mlとなり、製剤中には5%のエタノールが含まれているので15mlのビールを飲ませるのと同等のアルコール量になるので注意が必要である。

[PDF] 5) 田中弘之, 他. 骨形成不全症の診療ガイドライン。



・治療開始後1週間以内の再診率はコントロール群で17.8%、デキサメタゾン低用量群で19.5%、プレドニゾロン群で21.7%だったが、コントロール群と比較して有意な差は認められなかった (デキサメタゾン低用量群 P=.59, プレドニゾロン群 P=.19)。

ステロイド(デキサメタゾン)の内服により炎症を速やかに抑えるわけですね。 ..

クループ症候群は、生後6ヵ月~3歳の乳幼児に多い疾患で、晩秋から冬季に好発します。のどの奥(喉頭)がウイルス感染によって腫れることで気道が閉塞するかぜです。

>デキサメタゾンとして、通常成人1日0.5〜8mgを1〜4回に分割経口投与する。 ..

解説: 予防投与として認可されている抗インフルエンザ薬はノイラミニダーゼ阻害薬(NAI)であるオセルタミビル(タミフル)、ザナミビル(リレンザ)、ラニラミビル(イナビル)とキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬であるバロキサビルマルボキシル(ゾフルーザ)である。全て保険適応外である。オセルタミビル、ザナミビルの一日あたりの予防投与量は治療量の半量で期間は治療量の倍である。ラニラビルは単回投与であり、投与量は10歳未満および10歳以上で治療量と同量であるが、10歳以上であれば2日間に分けることも可能である。バロキサビルは、10mg錠が予防内服投与適応外である。

7歳喘息持ち夜間クループを起こし、ボスミン吸入、デカドロン20ml内服しま.

クループ症候群は上記の3大症状で診断するため特別な検査はありません。

クループ症候群の治療、検査 | 茨木市総持寺の小児科

新型コロナウイルス感染症オミクロン株流行以降はクループ症候群を合併する子どもが増加し、一部では気管内挿管・人口呼吸を必要とする重症例も報告されています。夜中突然にわが子がノドの痛そうな激しい咳が出だして止まらなくなり、あわてて夜間救急診療所を受診することの多いクループ症候群。わけがわからず言われるがままに吸入を受け、出されたお薬を飲ませている親御さんが多いのではないでしょうか。どのような治療法があり、どのような効果があるのか、皆さんはご存じですか?

クループ症候群[私の治療]

クループ症候群とは,声門下の気道粘膜・気道組織の炎症性浮腫により吸気性喘鳴,犬吠様咳嗽,嗄声等の症状を呈する疾患群の総称である。上気道のウイルス感染症で生じることが多く,上記症状以外に,発熱,カタル症状を伴う。原因ウイルスとしてはパラインフルエンザウイルスが一般的であるが,RSウイルス,インフルエンザウイルス,アデノウイルスなど,他のウイルスが原因となることもある。ウイルス性は,一般的に予後は良好である。細菌性として,急性喉頭蓋炎,喉頭ジフテリア,細菌性気管支炎が重要である。細菌性はきわめて稀であるが,死亡する危険性が高いため,注意を要する。

[PDF] 小児薬用量

リンデロンシロップ〔1.5mL/kg 例) 体重10kgの子で1回15mL〕単回経口投与が行われます。効果発現は投与後4~6時間とされており即効性はありません。症状再燃に伴う再受診率、アドレナリン吸入回数、病院内滞在時間、入院率に有意な改善が示されています。すなわち、病気の期間を短くし、重症化を抑制できる薬といえます。欧米ではすべてのクループ症候群の児に推奨される治療とされています。単回投与のため副作用はほとんどありません。反復投与が必要な場合は入院治療が必要となります。